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2016年の個展日記・1

これは、2016年11月23日〜12月3日まで開催した東京での初個展で
わたしが体験したことの日記です。この個展では児童文学作家の安房直子さんの物語を読んでイメージしたイラストレーションを展示しました。
かまくら春秋社刊「詩とファンタジー」編集者・平岡淳子様の企画で個展開催が叶いました。

「2016年 個展「遠い国の物語〜安房直子さんの童話から」
(キッド・アイラック・アート・ホール地下一階ブックカフェ槐多:東京)

11/23 初日
キッド・アイラック・アート・ホール(閉店)のスタッフの方が展示作業をしてくれた。今日の来店は夫の友人が一番乗り。そしてセツモードセミナーの生徒さん、アート・ホールの常連さん、マグレランド仲間の西田知美さん。
舞台演劇場のキッド・アイラック・アート・ホールが上階にあるので色んな人がやってくる。個展会場の「ブックカフェ槐多」はこちらの建物の地階にある(今は閉店)
そして次にやってきたのは女の子に片思いの、映画を作っている19歳の男性。
カフェの常連客。私の個展をきっかけにしてデートに誘ったそうだ(と、カフェの人が言っていた)
映画を見ているようにすてきなカップル。
男性は山口県出身で、中学生から小倉(北九州市)にいたということ。わたしと一緒じゃないか。
彼は初々しくてさわやかである。
女性はとても綺麗なひと。
この恋がうまくいきますように。
(風のうわさではこの男性は今、結婚してパパになってるらしい。この時の女性かどうかは不明)


11/24(木)
朝から大雪。
積もっているところもあって、電車のダイヤが乱れているので、出かけるかどうか悩む。ギャラリーのオープンは午後2時からなので、午前中に散歩することにしていたのだ。
とりあえず、ご飯を炊く。(投宿しているところは完全自炊のゲストハウス)
まずは何はともあれ、食べる。
11時前に神奈川在住の知り合いからメール。荻窪にある「ウレシカ」さんと「原美術館」を教えてもらった。
ご飯が炊き上がり、食事を済ませて出かけた。
雪は止むどころか、どんどん降る。
電車、かなり待つかもと思ってけど、そんなことはなく、乗り場が違うだけで電車はどんどん来る。さすが東京である。
西荻窪駅で下車。雪はいっぱい降るけど、そんなに寒くない。なんかベタつく雪。傘が重い〜
途中で揚げ物屋さんで「揚げたてコロッケ」を買い、食べ歩く。ぜんぜん「揚げたて」ではなくて冷たく冷え切っていた。

「ウレシカ」さん到着。山口マオさんのカレンダーを買って、これはお父さん(夫)へのおみやげ。
2階でイラストレーターさんの個展があったので見てみる。
A4かB5サイズくらいのイラストレーションが、原画とはいえ30万円前後もする。え〜!すごい値段である。これは東京の相場なのか?見ていた女性が電話口で「とても手が出ないのよ」と話していた。買う人はいるのだろうか。いるんだろうな。

戻って、個展会場へ行こうかと思うが、まだ12時すぎ。開店時間の午後2時までまだ時間があるので、どうやって時間をつぶすか考える。
目の前にあった、駅周辺の地図をぼんやり見ていたら「杉並アニメーションミュージアム」の文字を見つけた。ここから歩いて行けそうである。
またもや「ウレシカ」さん方面へ、雪がボンボン降る中を歩く。
すでにくつ下はじっとり濡れて、気持ち悪い状態。
雪はひどくなるし、やっぱり行くのやめようかなーと思いながらも、せっかく福岡から来たんだし・・・と歩く

そろそろ着きそうだ、というとき「荻窪神社」の鳥居があったので、ご挨拶に行く。境内に入ると屋根から雪がドサドサ!っと落ちてすごくびっくりした。一歩早かったら当たっていた。
神社の真正面にあるのが「杉並アニメーションミュージアム」の入り口だった。お参りのあと、まっすぐそちらに向かう。

会場見学は無料。アニメのセル画や人形が並ぶ。気になったのが大きな柱にいっぱい書いてあるサイン。漫画家の先生たちが直筆のサインを書いたものらしい。
男性たちが3人、その柱のそばで話をしていた。ひとりの男性は鉛筆の下書きの上からペンで絵を書いていた。

何か見たことがある絵だな。「あ、コイケさん・・・」藤子不二雄先生のマンガに出てくるいつもラーメンを食べているキャラクターである。
なんで、このひとが書いているのかなと思っていたら、この男性こそがここのミュージアム館長「鈴木伸一」さんだった。

たまたま取材で、ここのコーナーにいらしていたらしい。すごい偶然。わたしの他に、ほとんど観賞しているひとはいなかったので、思い切って声をかけてみた。

実は、これもすごい偶然なんだけど、わたしが初めて就職した会社の社長が鈴木伸一先生の幼馴染で、自宅に伺うとよく手紙や交換したハガキを見せてもらっていた。

そのことを話すと「ああ!彼は元気?」って聞かれるも、その時すでに社長とは縁が切れていたので残念ながら近況を話すことはできなかった。
そして、その社長から鈴木先生の著書「アニメの世界」をもらったことを話すと「久しぶりに彼に連絡してみよう」とおっしゃり、わたしの名刺もお渡しした。

もし、
雪が降っていなかったら。
電車のダイヤが乱れていなかったら。
西荻窪に行かなかったら。
ミュージアムへの地図を見つけていなかったら。
くつ下が濡れていることにガマンできなくて、行くことをあきらめていたら。
鈴木伸一先生が取材でいらっしゃる、この、数分にたまたま出会うことはなかった。天の采配に感謝である。

午後から個展会場。今日は淳子さんのママ友の方が、カウンターに入られた。
わたしの絵を見て、安房直子さんの本を読んでみたくなったと言ってくれた。
早速、本を何冊か渡す。
熱心に読まれている。安房直子さんの物語の素晴らしさを伝えることが、この個展の目的のひとつだったので。しめしめと思う。

雪のせいで今日は誰もこない。
ひとりもこない。
ゆっくりとふたりで、じっくりと本を読んでいる。こんなにゆっくりするのは久しぶりである。お客さんはこないけど、午前中のあまりに凄すぎる出会いがあったので良し!とする。
今日、初めてのお客様は、上階のアートホールで出演される歌手の方。(この時は知らなかったけど、後日この方は「おおたか静流」さんだったと判明。ポストカードを買っていただく)

今日はとにかく雪が凄かった。

2に続く→